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EU:欧州議会選挙、右派の伸長とグリーン系会派の後退で明暗
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- 2024-06-09
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- 欧州
- 環境・再エネ
複数の報道によると2024年6月6~9日にかけて、5年に1度の欧州議会選挙が実施され、日本時間6月11日現在の暫定的な集計に基づく結果として、まず、二大会派の「欧州人民党(EPP、中道右派)」および「社会民主進歩同盟(S&D、中道左派)」、これに、大きく議席を減らしたものの「欧州刷新(RE、中道リベラル)」を加えると、中道三会派で720議席中の過半を維持する見通しとなった。また、今回選挙では、「アイデンティティと民主主義(ID、極右)」、「欧州保守改革(ECR、右派)」をはじめとする右派の勢力伸長が伝えられている。特に、フランスではIDに属する「国民連合」が31%の得票率で、REに属する政権与党(得票率15%)を大きく引き離し第1党になったことで、マクロン大統領が直ちに国民議会の解散を表明する事態となった。ドイツでは、同じく極右の「ドイツのための選択肢(AfD、選挙直前にIDから離脱、所属会派なし)」が16%の得票率で国内第2党に躍進した。一方、前回2019年の欧州議会選挙で躍進した「緑の党・欧州自由連盟(Green/EFA、環境系)」は大幅な議席減となり、会派の規模としてはこれまでの議会内の第4位から第6位に転落する見通しである。全般的に、有権者にとっての関心が足元の生活防衛や治安、産業競争力の維持などに移行するにつれて、生活負担を伴う印象を与えがちな脱炭素化・気候変動政策の優先度が、相対的に低下したとする見方が強い。また欧州電気事業者連盟においても、右派の伸長により、電化をはじめとする既に合意済みの気候変動目標を後退させる動きが生じることに、警戒する声も上がっている。今後、新メンバーによる欧州議会の第1回本会議セッションは7月16日に開催され、新たな議長の選出などが行われる予定である。
